■開催日程/開催時間
2008 10/29 (wed.) 〜 11/3 (mon.)  作品展
 12:00〜20:00 (最終日は18:00まで)

■展示会タイトル
「 La Stravaganza 」

■入場無料

■主催
ainoccoQ R  中野浩伸 (中野もぐら)

■中野浩伸プロフィール
1971.1.7
東京都に生まれる
1972-1976
ドイツ デュッセルドルフに住む
1976-1978
イギリス ロンドンに住む
1978-1984
ナイジェリア ラゴスにて小学校時代を過ごす
1984-1991
帰国 中・高校時代を日本で過ごす
1991-
渡米 イリノイ州 Eureka college にて心理学とArt(絵画)を専攻
<1993>
"Edona Marry Brown" art scoraship 受賞
1994
Eureca college 卒業
帰国
1995
トルコ・ギリシャの旅
1996
屋久島の旅
1998-1999
西アフリカ ナイジェリアを目指す旅
*モロッコ→西サハラ→モーリタニア→セネガル→
  ギニア→マリ→ブルキナファソ→ベニン→ナイジェリア(ラゴス)
1999-2000
スペイン バルセロナに住む
2000
帰国
2002-2006
九州、唐津湾に浮かぶ小さな島に住む
2006
東京都世田谷区在住


◎作品展◎
1994 "Bear foot journey" Burrgess Gallery. IL . USA
1997 "Nuru" ピガ原宿画廊2. 東京
1997 "染み込む" Butter Cups Cafe'. 京都
1998 "Thenethysia" ピガ原宿画廊2. 東京
2002 "organic" gomphrena. 東京
2003 "Sportivo Romantico" VOICE GALLERY. 京都
2005 "Robabianca" 石田大成社ホール


■開催内容について
ネコパンチにペリカンの追い込み漁、お風呂好きのカピバラ…
そして、夜空に瞬く星の光は、何億光年か前のもの。

あの時、光の家族は、それぞれ前を進む光を見失わないように
さも神妙そうに、隊列をなして長い長い旅を続けていた。
だけど気付いた時には、結局ひとりぼっちだった。

つまりこの世に時間なんて存在しないということ。



内容的には、京都で開催した2つの展覧会[Sportivo Romantico][Robabianca]
に続く3作品展目という位置付けになります。
Sportivo Romanticoでは、作家自身が赤いスポーツカーで走り抜ける感触を、Robabiancaでは白いロバと一緒に旅しながら出会った世界を表現。今回発表する一連の作品は光の家族の旅に始まり、家族からはぐれてひとりぼっちになってしまった”光”の感情を感傷的に、かつ、感覚的に『その世界』を表現している。
ゆっくり時間をかけて深く塗り込まれた色を見て感じてほしいと思います。

10月31日(金) 18時頃より、簡単なドリンクを用意しております。

 

■ コラム  (Artist Message)

「疑惑の森」について   

 

作品展初日まで残り2週間を切ったある夜のこと。もうすでに全ての作品が出揃っている予定だったタイミングで、画家はこんなことを話始めた。

「疑惑の森に入っちゃったんだよね」

そういえばここ数日同じキャンバスにむかっているが、見るたびに描かれている絵が完全に変わっているのに気づいてはいた。その度私は『一体どうなることやら』と、内心ドキドキしながらもだまって様子を見ていた。

「で、疑惑の森ってなに?」

すると画家はこう言った。
「今まで描いてきたものや自然と描いてしまうものを全て疑ってかかっているうち、入り込んでしまったのが疑惑の森。ひとつの形や色を描いていると『次はこんな形もいけるよ』とか『オレンジの次は緑もいけちゃうよ』って声が聞こえてきちゃって、描いてみるんだ。描けたものは良いんだけど、求めているものがそれでは無いから、上から全部塗ってしまうんだ」

「朝出来上がっていた絵、綺麗な絵だったけど。夕方戻ってきたら、見る影も無く違うものになってたからちょっと驚いたんだけど、疑惑の森とやらに入りこんでいる訳ね?」
と私。

「そうだね」

「ふ〜ん、で、いつまでそこにいるの?」

「分からないけど、今まで自分が描いてきたものとは、違うものを描きたい。自分のスタイルを見つけないといけないと思っているんだ。だから、今まで知っているものではだめなんだよね」

「じゃあ、仕方ないね。自分で入っちゃったんだもんね、疑惑の森に」

「成りゆきに任せるしかない」

というようなやり取りがあり、それから何度も描いては塗り、描いては塗り、描いては塗りを繰り返しを続け、展覧会の一週間前になってようやく透明な美しい色の森が出来上がりはじめた。
こってりと塗られた色の中には、実は5種類以上の別の絵が描かれているのだ。
乾いていない油絵の上に色を乗せて、どうしてこんなに透き通った色を保ち続けられるのかは本当に不思議。

また、作品が出揃った搬入3日前にはこんな話をしていた。

「ようやく次の世界の入り口に立ったみたい」

「よくやるよね、あそこまでちゃんと描いた絵、消すって、普通はしないと思う」
と私が呆れながら言うと、
「大学の時にさ〜、同じようなことをして、同級生にすごく驚かれたんだよね。
そのとき綺麗な青地の上に女の人を描いていて、描けたのをみながら、それではダメだって思って、自分的には躊躇無く、全然違う色でその絵を塗りつぶしてしまったんだ」

「今の行動と同じだね」

「すると、そばで見ていた同級生が『オ〜 マイ ゴッド!オ〜 マイ ゴッド!あなたなんてことするの、そんなに綺麗な絵消すなんて、信じられない!』ってものすごく驚いてて、でも、自分的にはダメだったから、彼女の驚きなんて無視してただ自分の目指す絵を描いてた」

「その人の気持ちも分かる。私も毎日それ見てて、ドキドキしたから。でも、今考えると、あの絵たちじゃダメだったんだなというのも分かる」

「その後、クリティックの時にまったく違う絵を出したら、驚きまくってた彼女がキャロル(アートの先生)に一連の事の顛末を話したんだよね。するとキャロルは当たり前に『アーティストにとってその行為は絶対必要で、そうして新しい世界を生み出すことができるのよ』と答えたんだ」

「アーティストは大変だ…」

「でも、今回、最後まであきらめなかったから、きっと誰かひとりは味方になってくれると思うんだ。今回は始まりにしか過ぎないと思ってるんだけどね」

そんな風に生み出された色の森の風景を見ていると、心に柔らかい光が灯るのを感じる。